金属でできたカード、として名前だけは聞いたことがある人も多いラグジュアリーカード。実際に申し込めるのはチタン・ブラック・ゴールドの3種類で、年会費は税込55,000円・110,000円・220,000円、ポイント還元率は1.0%・1.25%・1.5%です。上のグレードほど還元率は上がりますが、その上がり幅で年会費の差を取り返そうとすると、けっこうな金額を使うことになります。どのくらい使えば釣り合うのかを、実際に割り算して確かめていきます。

年会費5万5千円って、それだけでけっこうな金額だよね……。しかも上に2種類もあるの?

あるよ。しかも一番上のゴールドは22万円。だから「還元率が高いほうがお得」で片づけずに、差額と還元率の差を並べて計算したほうがいい。公式サイトに出ている数字だけで確かめられるからね。
ラグジュアリーカードは全部で何種類あるのか
ラグジュアリーカードは、株式会社アプラス(新生銀行グループ)が発行しているクレジットカードです。国際ブランドはMastercard、カード本体は金属製という共通点があります。
グレードは名前の順に、チタン → ブラック → ゴールド。この3種類が、自分から申し込みを検討できる範囲です。そしてこの上にブラックダイヤモンドという招待制のカードがあります。招待制というのは、自分で申し込むのではなく、カード会社側から声がかかって初めて持てるという意味です。年会費や招待の条件は公式サイトで公表されていないので、この記事でも金額には触れません。
名前でつまずきやすいところ
ほかのカード会社だと「ゴールド」は入門〜中位グレードのことが多いのですが、ラグジュアリーカードではゴールドが一番上です。順番はチタン→ブラック→ゴールド。ここを逆に覚えていると比較のときに混乱します。
年会費とポイント還元率を3種類で比較
公式サイトに出ている数字を並べると、こうなります。
| グレード | 年会費(税込) | ポイント還元率 |
|---|---|---|
| チタン | 55,000円 | 1.0% |
| ブラック | 110,000円 | 1.25% |
| ゴールド | 220,000円 | 1.5% |
| ブラックダイヤモンド | 招待制(非公表) | 招待制(非公表) |
見てのとおり、年会費は1段上がるごとに2倍になります。55,000円 → 110,000円 → 220,000円。いっぽうで還元率は1.0% → 1.25% → 1.5%と、0.25%ずつしか上がりません。年会費は倍々、還元率は0.25%刻み。この非対称さが、このカードを比較するときの一番のポイントです。
年会費の差は、いくら使えばポイントで埋まるのか
「上のグレードにすると還元率が上がるから、たくさん使う人ならお得」という言い方をよく見かけます。では、たくさんとは具体的にいくらなのか。年会費の差額を還元率の差で割れば出ます。
年会費の差を還元率の差で埋めるのに必要な年間利用額
チタン → ブラック
- 年会費の差:110,000円 − 55,000円 = 55,000円
- 還元率の差:1.25% − 1.0% = 0.25%
- 55,000 ÷ 0.0025 = 22,000,000円(年間2,200万円)
ブラック → ゴールド
- 年会費の差:220,000円 − 110,000円 = 110,000円
- 還元率の差:1.5% − 1.25% = 0.25%
- 110,000 ÷ 0.0025 = 44,000,000円(年間4,400万円)
チタン → ゴールド
- 年会費の差:220,000円 − 55,000円 = 165,000円
- 還元率の差:1.5% − 1.0% = 0.5%
- 165,000 ÷ 0.005 = 33,000,000円(年間3,300万円)

2,200万円!? 1年で! そんなの月に180万円くらい使う計算だよね……。

そう。だから正直に言うと、還元率の差だけで上のグレードを選ぶ理由は、ほとんどの人には出てこない。この計算は「上に行くとお得」という説明のほうを疑うための計算なんだ。
念のため補足すると、この計算は公式サイトに書かれている還元率の数字だけを使ったものです。ポイントをどこに交換するかで実際の価値が変わる可能性はありますが、そこは公式の還元率の表記に含まれていないため、ここでは触れずに数字だけで比べています。
「還元率で元が取れる」という考え方の限界
年間2,200万円・4,400万円という金額は、ふつうの家計や個人の支出ではまず届きません。つまりこのカードは、還元率で年会費を回収する種類のカードとして比較すると、どのグレードも成立しにくいということです。選ぶかどうかは、還元率ではなく年会費に対して特典やカード自体をどう評価するか、という話になります。
還元率以外に何が違うのか
では還元率以外はどうか。公式サイトで確認できた範囲では、3種類とも金属製のカード本体で、国際ブランドはMastercardです。特典として公式に書かれているものには、GHA DISCOVERY のチタン会員ステータスへの無条件招待があります。GHA DISCOVERYは世界100カ国以上・850以上のホテルが加盟しているホテルのプログラムで、その会員ステータスが申し込みなしで付く、という内容です。
ホテルや旅行系の特典を実際に使う人なら、年会費に対する見方は変わってきます。逆に年に数回しか旅行しない人にとっては、特典の欄が長くても手元に残る価値は小さくなります。ここは還元率のように割り算では出せない部分なので、自分の生活に当てはめて考えるしかありません。
なお、グレードごとの特典の細かい違いについては、公式サイトの各カードのページで内容が更新されることがあります。この記事では確認できた範囲以上のことは書きません。
ラグジュアリーカード: 申し込み導線をこの位置に-->3種類のどれを選ぶか、順番に決める
比較の材料が出そろったので、決め方を順番にします。上から順に自分に当てはめていくと、迷いにくくなります。
グレードの決め方(上から順に)
1. 年間いくら使うか
カード決済の年間合計を出します。数百万円までなら、還元率の差で年会費の差を埋めるのは計算上むずかしいので、この時点でチタンが基準になります。上で計算したとおり、ブラックの差額を埋めるには年間2,200万円が必要です。
2. 特典を実際に使うか
ホテルの会員ステータスなどを年に何回使うかを、具体的な回数で数えます。「使えたらうれしい」ではなく「去年何回泊まったか」で数えるのがコツです。回数が出てこないなら、特典を理由に上のグレードを選ぶ根拠は弱いことになります。
3. その年会費を毎年払えるか
年会費は1回きりではなく毎年かかります。55,000円なら毎年5万5千円、220,000円なら毎年22万円。今年払えるかではなく、来年も再来年も同じ額を払えるかで判断します。ここで引っかかるなら、下のグレードか、そもそも別のカードを見たほうが落ち着きます。
法人決済用カードも同じ3グレード・同額
ラグジュアリーカードには法人決済用のカードもあり、こちらもチタン・ブラック・ゴールドの3グレードで、年会費は個人向けと同額です。つまり55,000円・110,000円・220,000円(税込)という金額の並びは変わりません。
公式サイトが法人カードの利点として挙げているのは、年会費を経費として計上できること、決済日より引き落とし日が後になるためキャッシュフローに余裕が出ること、経費決済をまとめると資金の流れを管理しやすいこと、そしてスタートアップや個人事業主も利用できることです。個人で持つ場合とは年会費の意味づけが変わってくるので、事業で使う前提の人は別の視点で見る必要があります。法人カードとしての詳しい見方は別の記事にゆずります。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | ホテルの会員ステータスなどの特典を年に何度も使う予定がある人/金属製のカードそのものに価値を感じる人/年会費を毎年払い続けても家計や事業に影響が出ない人 |
|---|---|
| 向いていない人 | ポイント還元で年会費の元を取りたい人/年間の決済額が数百万円までの人/年会費を「今年だけなら払える」と考えている人/旅行やホテルの利用がほとんどない人 |
よくある質問
Q. 一番安いグレードはどれですか?
A. 申し込めるカードの中ではチタンで、年会費は税込55,000円、ポイント還元率は1.0%です。
Q. ブラックダイヤモンドの年会費はいくらですか?
A. 招待制のカードで、年会費や招待の条件は公式サイトで公表されていません。金額を書いている情報を見かけても、公式の発表ではない点に注意してください。
Q. 年収がいくらあれば作れますか?
A. 審査の基準や必要な年収は公式が公表していません。一般に言われている目安が出回ってはいますが、公式の情報ではないので、この記事では数字を挙げません。申し込めるかどうかは実際に審査を受けてみないと分かりません。
Q. 途中でグレードを変えられますか?
A. 変更の可否や手続きの流れは公式サイトで確認するのが確実です。年会費が倍々で変わるので、変更を前提にするより、最初に「毎年払える額はどこまでか」を決めておくほうが安全です。
Q. 還元率1.5%のゴールドが一番お得ですか?
A. 還元率だけで見ると、ゴールドの年会費の差をチタンとの還元率差で埋めるには年間3,300万円の利用が必要という計算になります。還元率の高さと「お得さ」は同じではないので、特典を使うかどうかで判断するほうが実態に合います。
まとめ
- 申し込めるのはチタン(55,000円・1.0%)、ブラック(110,000円・1.25%)、ゴールド(220,000円・1.5%)の3種類。年会費はすべて税込。
- その上のブラックダイヤモンドは招待制で、年会費も条件も公表されていない。
- 年会費は倍々に増えるのに、還元率は0.25%ずつしか上がらない。
- 年会費の差を還元率の差で埋めるには、チタン→ブラックで年間2,200万円、ブラック→ゴールドで年間4,400万円の利用が必要。還元率だけで上のグレードを選ぶ話にはなりにくい。
- 法人決済用カードも同じ3グレードで年会費は同額。経費計上や引き落とし日の後ろ倒しなど、公式が挙げる利点は個人向けとは別の観点。

数字を並べると、このカードは「還元率でお得を作るカード」ではないことがはっきりする。それが分かったうえで年会費に納得できるかどうか、という順番で考えるのがいいと思う。

わたし、2,200万円使う日が来たらまた計算しにくるね! ……たぶん当分こないけど!
※年会費・特典・ポイント還元率は2026年9月12日時点で公式サイトを確認した内容です。最新の内容は公式サイトでご確認ください。