この記事でわかること
- 講習で練習する主なスキルの一覧
- つまずきやすいマスククリア・レギュレーター・中性浮力のコツ
- できないときの考え方と、事前に伝えておくこと
講習で「何をやらされるんだろう」といちばん身構えるのが、水中のスキルです。マスクに水が入ったら?口の器材が外れたら?想像すると怖い。でも、練習するスキルは決まっていて、順番に積み上げる作りになっています。ここでは、PADIの限定水域で練習する代表的なスキルと、つまずきやすい所のほぐし方をまとめました。数字や項目は「PADIの場合」として書きます。

水中でマスクに水が入るなんて、想像しただけでパニックニャ…!

それを穏やかな浅い場所で練習するのが講習だよ。少しずつ慣らすから、いきなり全部やらされることはない。
講習で練習する主なスキル(一覧)
PADIの限定水域(プールや流れのない浅瀬)では、下のようなスキルを練習します。どれも、水中でトラブルが起きても落ち着いて対処するための基礎です。
| スキル | どんな練習か |
|---|---|
| マスククリア | マスクに入った水を、鼻から息を出して押し出す |
| レギュレーター・リカバリー | 口から外れた呼吸器を、手で探して取り戻す |
| レギュレーター・クリア | 呼吸器に入った水を、息を吐いて排出する |
| 中性浮力 | 浮きも沈みもしない状態を、呼吸とBCDで微調整する |
| バックアップ空気源の使用 | バディの予備の呼吸源を使う・貸す練習 |
| 潜降と圧平衡(耳抜き) | ゆっくり潜りながら、こまめに耳抜きをする |
ぜんぶを一度にやるわけではありません。1本の限定水域で少しずつ、できたら次へ。PADIでは限定水域を5本以上おこない、「できた」と言えるまで練習する作りです。耳抜きのやり方そのものが不安なら、ダイビングの耳抜きのやり方で先にコツをつかんでおくと、潜降の練習が楽になります。
マスクに水が入ったとき(マスククリア)
初心者がいちばん身構えるのが、これ。でも、原理はシンプルです。マスクの上ふちを軽く押さえ、鼻からゆっくり息を出す。すると空気が水を下から押し出し、視界が戻ります。コツは、あわてて口で息を吸わないこと。呼吸器は口にあるので、鼻に水が入っても呼吸は続けられます。ここを頭で分かっているかどうかで、落ち着き方がまるで違います。最初は「少し水を入れて出す」から始め、慣れたら「全部に水を入れて出す」へ進みます。段階があるので、いきなり水没から始まりません。何度か成功すると、体が「あ、平気だ」と覚えます。
レギュレーターが外れたとき
呼吸器が口から外れる。想像すると怖いですが、対処はすぐ覚えられます。方法は2つ。右手を後ろに回してタンクからのホースをたどる「アームスイープ」と、右肩のタンク側を手で探る方法です。どちらも、外れた呼吸器を取り戻して口に戻すだけ。取り戻したら、まず息を吐くか、押しボタンで中の水を飛ばしてから吸います。これも浅い場所で何度も練習するので、海に出るころには手が勝手に動くようになっています。慣れると、外れること自体が怖くなくなります。
浮く・沈むの調整(中性浮力)はなぜ難しい
正直に言うと、初日でいちばん奥が深いのが中性浮力です。浮きも沈みもしない状態を保つのですが、息を吸うと少し浮き、吐くと少し沈む。この時間差があるので、反応が一拍遅れて上下してしまう。最初は誰でもふわふわします。だからこそ、限定水域でくり返す価値があるスキルです。コツは、BCDの空気で大まかに合わせ、あとは呼吸で微調整すること。焦って空気を出し入れしすぎると、かえって暴れます。上手な人ほど、動きが小さい。ここが決まると、水中がぐっと快適になり、エアの持ちもよくなります。

中性浮力は、慣れてくると宙に浮いてる感覚で気持ちいいよ。最初のふわふわは、みんな通る道。
できないときは何度でもやり直していい
スキルは、一発で決める必要がありません。PADIの講習は達成ベースなので、できるまで付き合ってもらえます。1回で通らなくても減点、という発想がそもそもない。うまくいかないときは、たいてい「力み」と「急ぎ」が原因です。呼吸を落とし、動作をゆっくりにするだけで通ることが多い。インストラクターは、その場で手本を見せ、原因をほどいてくれます。焦らないほうが、結局は早く身につきます。
限定水域と海洋実習で、同じスキルをくり返す
覚えておくと気が楽なのが、スキルは一度きりではない、ということ。限定水域で練習したマスククリアや中性浮力は、海洋実習でもう一度やります。場所が穏やかなプールから本物の海に変わるだけで、やること自体は同じです。だから、限定水域で「なんとなく分かった」まで来ていれば、海で完璧じゃなくても大丈夫。海の中でもう一度なぞって、体に定着させていきます。1回で仕上げる必要がない、という設計になっているわけです。この「くり返し前提」を知っているだけで、初日の力みがずいぶんほどけます。海でやることの流れは海洋実習の流れにまとめました。
もうひとつ。スキルは「速さ」より「落ち着き」で見られています。素早くマスククリアできる人より、あわてずに一つずつこなせる人のほうが、水中では安全です。だから、ゆっくりでいい。むしろ、動作を大きく・ゆっくりにするほど成功しやすいスキルが多いです。焦りは水中の最大の敵、と覚えておくと役に立ちます。
不安が強いスキルは事前に伝える
「マスクに水が入るのだけは本当に苦手」など、特に怖いスキルがあるなら、始まる前に伝えておきましょう。言っておけば、そのスキルに時間を多めに取り、順番を工夫してもらえます。黙って我慢するより、ずっと進みが良くなります。海洋実習に出る前に限定水域で仕上げておくと、本番が楽です。実習の流れは海洋実習の流れ|何本潜る?に、講習全体の地図はオープンウォーター講習では何をする?にまとめました。スキルは、できる人とできない人がいるのではなく、慣れた人とこれからの人がいるだけ。最初は誰もがぎこちなく、そこから少しずつ手が動くようになります。今できないことは、そのうちできること。そう思って臨むと、初日の景色が変わります。
よくある質問(FAQ)
Q. マスククリアが怖くてできません。落ちますか?
落とすためのスキルではありません。少し水を入れる練習から段階的に進み、できるまで付き合ってもらえます。呼吸器は口にあるので、鼻に水が入っても呼吸は続きます。それを頭で分かっておくと、落ち着いて取り組めるはずです。
Q. 中性浮力が最後までうまくできませんでした。
初日で完璧になる人はまれです。BCDで大まかに合わせ、呼吸で微調整する感覚は、本数を重ねて身につきます。海洋実習でも練習が続くので、限定水域で「なんとなく分かった」まで来ていれば十分です。
Q. 苦手なスキルは事前に言っておくべき?
はい、伝えておくのがおすすめです。時間配分や順番を工夫してもらえます。ダイビングは我慢比べではありません。不安を共有したほうが、結果的に早く楽になります。
スキルは、怖さを一つずつ「できた」に置き換えていく作業です。浅い場所でくり返すから、海に出るころには手が動きます。次は、そのスキルを実際の海で使う海洋実習を見ておきましょう。
この記事は一般的な情報のまとめです。練習するスキルや本数は指導団体やコースによって異なります。最新の内容は受講するショップにご確認ください。